
受渡しの仕組み
受渡し(契約時の条件による一定期間後の現物の受渡しによる決済方法)
先物取引の決済方法のひとつに、現物の授受によって取引を終了させる方法「受渡し決済」があります。その受渡し決済において、現物を受け取って決済することを「現受け」といいます。反対に手元にある現物を渡して決済することを「現渡し」といいます。
もし、購入(販売)したい商品が先物市場で取引されていれば、先物市場を利用することで大きなメリットが得られます。
商品先物市場の受渡しを使うメリット
- 仕入と販路の多角化
・従来の得意先に加えて新たな仕入・販売先が確保できる - 自社の裁量で価格を決定
・大手主導の値付けからの解放
・中間マージンを省いた価格 - 透明・公正な価格
・値付けの過程がすべて見える透明な価格
・取引所の徹底監視のもと不正を排除し、公正な価格を形成 - 品質の保証と確実な入金
・買い方は必ず商品を、売り方は必ず現金を受け取れる仕組みの確保
- 受渡しの希望者は、取引最終期限まで買いまたは売りの契約を持ち続けることで、現物の購入(引取)または売却(引渡)が可能。
- 取引の開始は最終日からさかのぼって半年から最長1年。
【 半年 】ガソリン、灯油、ゴム、小豆など
【 1 年 】貴金属(金、銀、白金)、大豆、トウモロコシなど - 状況に応じて、受渡しをせずに差金のやり取りで取引を終了することも可能。
- 商品によっては複数回に分けて引き取ることも可能。
例えば金の現受け方法
メリット |
デメリット |
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取引所(市場)で直接買い付けるため、一般的に小売店より安く購入できるケースが多い |
現受けの手続きを行ってから金が手元に届くまでに日数がかかる |
当初資金は、現受け代金の一部の資金(証拠金)で済み、前提は「現受け」でも、差金決済により取引を終了することも可能 |
取引単位が1kg単位のため、スモールバーでの購入は不可能 |
大阪取引所の受渡供用品指定銘柄は世界に通用するブランド地金 |
受渡供用品銘柄のうち、どのブランドかは指定ができない |
消費税について
現受け = 消費税額を支払う
現渡し = 消費税額を受け取る
取引当初の建玉をした段階では、納会値段が基準となるため、受渡し消費税額を事前に計算できません。
現物の受渡しによる決済を行う場合は、納会日の納会値段によって受渡しに用いる消費税を計算することになります。
手元に金地金が届くまでの流れ
現渡しの場合は「売り」注文を出し、建玉を保持し続けた場合は、上記手順④で保管料を精算のうえ、倉荷証券を差し入れていただき、その後⑤として受渡日に受渡総代金が商品先物取引口座に預け入れされます。