日産証券CXレポート

石油、材料難で保合状態か

 

 2017年2月20日(月)
立正大学経済学部教授
林康史

WTI、50ドル台で膠着

材料難、ニュース待ちの状況であるWTI価格は、直近の価格推移を見ると、まだその状況に変わりはありません。50ドル~55ドルのレンジ内で推移しており、保合(もちあい)の状態が継続されています。

1月22日にウィーンで行われた原油減産の監視委員会では、減産の達成に向けて「期待を上回る進捗」との意見で一致していました。その見方を裏付けるように、2月13日に発表されたOPECの月報によると、1月のOPECの原油生産量は、日量あたり、前月比90万バレル減の3,214万バレルでした。現段階では、減産合意時に決定した目標である日量3,250万バレルという数字をクリアしており、上々のスタートを切ったと見てよいでしょう。ただ、イランは増産の上限まではまだ余地を残していますし、イラクも目標数値を達成していない等の不安要素もあります。原油価格が保合のなか、やはりOPECの減産の進捗は今後も注目材料です。

ただ、いずれにしても、今の膠着は煮詰まった結果ということでもなく、材料難のまま、相場がレンジの外に飛び出したからといって大きな動きにはならないものと思われます。

原油安の影響

マーケットの話からは少し外れますが、6年ぶりの日本の貿易黒字について付記します。

財務省が1月25日に発表した貿易統計(速報)によると、2016年の日本の輸出額は70兆円(前年比7.4%のマイナス)、輸入額は66兆円(前年比15.9%のマイナス)で、貿易収支は、6年ぶりの黒字(4兆円)となりました。

数量ベースで見ると、東日本大震災後、輸出は減少し、輸入は横ばいとなっています。しかし、金額ベースでは、輸入の2割近くを占めるエネルギー関連価格が下落したため、結果として輸入価格は減少しました。

つまり、昨年の貿易収支黒字の要因は、エネルギー価格が下落したためであり、日本の経済成長とは無関係であるといえます。

休むも相場というところでしょうか。こういうときは、材料の整理等、調査・研究に時間を使えということでしょうか(次回は、年間の動き等を整理してみることにしたいと思います)。

《執筆者紹介》

林康史(はやしやすし)
立正大学経済学部教授。大阪大学卒。法学修士(東京大学)。メーカー、金融3業態を経て、現職。<著書・訳書>『改定版 基礎から学ぶ デイトレード』、『トレーダーの発想術――マーケットで勝ち残るための70の箴言』(訳)『株式投資 第4版』(共訳)『デイトレード』『マネーの公理』『運とつきあう』(以上、監訳)以上、日経BP社、『戦略的リスク管理入門』(監訳)勁草書房、ほか多数。最新刊は、『貨幣と通貨の法文化』(編)国際書院

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