日産証券CXレポート

原油、需給のバランスがカギ

 

 2016年12月26日(月)
立正大学経済学部教授
林康史

再び50ドル台へ

注目されていた減産合意の詳細ですが、OPECは、11月30日に行われた総会の後、来年1月までに日量約120万バレル生産量を減らし、当初の枠組みの下限とされていた日量3250万バレルまで減産する計画を発表しました。これにより、OPEC総会前時点で9月の減産合意当初の水準まで戻っていた原油価格は11月30日の取引では一転上昇し、42.24ドルで始まった後、49.44ドルの終値を付けました。その後、12月12日には54.51ドルの高値を付けるなど、50ドル台を中心に推移しています。

減産合意の詳細

今回の総会で決まった日量120万バレルの減産ですが、注目されていたのは、その減産分をどこの国が、どの程度受け入れるのかという点でした。主だった国は、以下のようです。

減産の内容

リビア 減産を免除(当初の想定通り)
ナイジェリア 減産を免除(当初の想定通り)
インドネシア 減産には加わらない(OPECの加盟資格の一時停止。石油の純輸入国)
イラン 増産は許容(ただし、日量約10万バレル増の
380万バレル<経済制裁前の水準よりも少ない生産量>に抑える)
イラク 日量約21万バレルの減産
サウジアラビア 日量約49万バレルの減産(対生産量の比率としてはイラクとほぼ同じ)

ゴネ得を狙っていたイラクですが、増産を強行して減産合意を反故にすれば原油価格は下落し増産のメリットがなくなってしまうこと、サウジアラビアは原油価格が上昇すれば減産による収入減を補えるということで、原油価格の上昇を目指すという点では利害が一致し、両者が歩み寄ったということです。

非OPEC、シェールオイル ~ 需給バランスに注目

今回のOPEC減産をさらに有効なものとするためには、非OPECの協力も必要です。その代表格のロシアは、「日量30万バレルの減産を行う用意がある」と発言しています。非OPECの協調も取り付けられるのであれば、需給はタイトになり、原油価格は強含むでしょう。

シェールオイルに関しては、生産コストが45~55ドル程度(現在のWTIの価格帯が一般的な採算ライン)と言われており、最近の原油価格の上昇とともに米国の稼動リグ数は増加ペースが上がってきています。需給バランスを読む上では、シェールオイルの増産にも注意を払う必要があります。原油価格が上昇すれば、シェールオイルの生産も増えることから、原油価格がすんなりと一本調子で上昇基調に入るとは考えにくいです。

今後の展開 ~ 強含み

今回のOPEC総会での合意により、減産の実効性はある程度確保されたと言えるでしょう。今後は需給によって原油価格は上下することが考えられます。ただ、前提は、「減産合意が守られる」ことです。産油国は、これまでもそうでしたが、合意の反故、抜け駆けは大いにあり得るので、注視が必要です。

《執筆者紹介》

林康史(はやしやすし)
立正大学経済学部教授。大阪大学卒。法学修士(東京大学)。メーカー、金融3業態を経て、現職。<著書・訳書>『改定版 基礎から学ぶ デイトレード』、『トレーダーの発想術――マーケットで勝ち残るための70の箴言』(訳)『株式投資 第4版』(共訳)『デイトレード』『マネーの公理』『運とつきあう』(以上、監訳)以上、日経BP社、『戦略的リスク管理入門』(監訳)勁草書房、ほか多数。最新刊は、『貨幣と通貨の法文化』(編)国際書院。

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