日産証券CXレポート

原油、OPECが協調減産に合意、ロシアも追随へ

 

 2016年12月12日(月)
㈱伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー
伊藤 敏憲

11月30日に開催されたOPEC総会で日量120万バレルの協調減産が合意された。ロシアもOPECからの呼びかけに応じて日量60万バレル程度の同時減産に踏み切ると予想される。OPECとロシアが協調減産を実施するのは2001年以来実に15年振りのことで、日量180万バレルは現在の世界全体の原油供給量の1.9%に相当する。

年初来高値更新後、上げ渋る

NYMEXの原油先物の期近価格の引け値は、今年6月に51ドル台まで上昇した後、8月に40ドル弱に下落、9月末に開催されたOPECの臨時総会で協調減産が仮合意されたことを受けて10月に一時51ドル台まで上昇したが、その後、原油の需給調整が進まなかったこと、OPEC総会で最終合意に至らないのではないかとの思惑が広がったことなどから、再び値を崩していた。

そして、OPEC総会後に原油相場は急反発し11月30日の引け値は前日比4.21ドル高の49.44ドルとなり、12月2日に51.68ドル、5日には51.79ドルと2日続けて年初来の高値を更新したが、その後、上げ渋っている。

需給調整完了は半年から1年後

意外に思われるかもしれないが、OPEC加盟国が過去に協調減産を実施した局面で、合意した数カ月後に原油価格が上昇したケースはほとんどない。これは、OPECが協調減産を検討したり実施したりした局面では需給が緩んでいたことによる。OPEC加盟国が合意内容通りに減産を実施しなかったこともあったが、ほぼ合意内容通りに減産したにも関わらず、需給が引き締まらなかったケースもあった。

世界の原油需要は1年間に日量100万~200万バレルのペースで増加しているので、OPECやロシアが合意内容通りの減産体制を維持したとしても、過剰在庫の調整が済むまでには、まだ半年から1年程度の期間を要すると見込まれる。また、原油価格が上昇すると北米のシェールオイルなどの高コストプロジェクトの生産量が回復に向かうと予想される(グラフ参照)。

過去と同様の状況再現も

米国の原油生産量は、15年6月初旬のピーク時点では日量961万バレルに達していたが、16年12月初の生産量は日量870万バレルとピーク時に比べて約90万バレル減少している。米国の原油生産量が過去のピーク時並みまで回復しただけで今回のOPECとロシアの減産分の約半分を打ち消してしまうことになる。世界の原油需要が伸び悩んでいることから、過去と同様の状況が再現される可能性はあると考えられる。

米国の原油生産量とリグの稼働基数の推移
米国の原油生産量とリグの稼働基数の推移

《執筆者紹介》

伊藤敏憲(いとうとしのり)
伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー代表取締役。1984年東京理科大学卒。同年大和証券入社。同年に配属された大和証券経済研究所(現:大和総研)で、エネルギー産業等の調査担当、素材・エネルギー産業調査の統括、上場企業調査の統括を歴任し、1999年退社。HSBC証券、UBS証券のシニアアナリストを経て、2012年伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー設立。現在、経済産業省「総合資源エネルギー調査会総合部会電力システム改革専門委員会」、「原油価格研究会」、日本証券アナリスト協会「運営委員会」などの委員に就任中。<主な著書>「石油・新時代へ提言」(燃料油脂新聞社)、「伊藤敏憲の提言」(月刊ガソリンスタンド)、「Expert Power」(石油ネット)。

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