日産証券CXレポート

石油、年末年始は天候の影響大

 

 2016年11月14日(月)
㈱伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー
伊藤 敏憲

原油市況は、様々な理由によって左右される。需要、供給、在庫の水準や変化、これら需給動向に影響を及ぼす主要国・地域の経済情勢、天候、地政学リスク、さらに、為替相場、金融情勢なども反映する。

製品価格は原油との値差を反映

一方、米国のガソリン、ヒーティングオイルなどの石油製品市況は、原油市況の変動に加えて、原油との値差(クラッキングスプレッド)が、それぞれの製品の需給動向を正確に反映する傾向が見られる。

米国のガソリンとヒーティングオイルのクラッキングスプレッドの季節的な変化をみると、ヒーティングオイルは夏から初冬にかけての時期、ガソリンは春から初夏にかけての時期にそれぞれ拡大し、その後、縮小する傾向が見られる。(グラフ1参照)これらの動きは、いずれも需要の季節変動を反映している。そして、クラッキングスプレッドは在庫の増減の影響を受けやすい。

ガソリン在庫は、昨年末から急増し、平年の水準を上回って推移している。だが、その変化を見ると、年初に急増した後に減少、さらに例年通りなら減少する春から初夏にかけての時期に増加した。ガソリンのクラッキングスプレッドはこの動きをほぼそのまま反映して、縮小、拡大、縮小を繰り返している。

ガソリンは在庫の動向がカギ

11月初旬のガソリン在庫は依然、例年に比べて高い水準にあるが、減少傾向で推移している。このため、クラッキングスプレッドは例年通りなら縮小する夏から秋にかけてほぼ横ばいで推移している。在庫の圧縮が進むかどうかが、今後の市況を左右する要因の一つになると予想される。(グラフ2参照)

ヒーティングオイルのクラッキングスプレッドは、ほぼ平年と同様の動きを示している。ヒーティングオイルの在庫は、例年、需要期を控えた7月から9月にかけての時期に増加し(積み増され)、出荷が本格化する10月から11月にかけて減少する(在庫が取り崩される)が、今年も同様の変化がみられる。11月初旬現在の在庫の水準は平年に比べて高いが、在庫が減少傾向にあることもあり、ヒーティングオイルのクラッキングスプレッドは例年通りに夏から秋にかけて拡大した。これから春にかけての時期は、需要を左右する天候の影響を受けやすくなる。(グラフ3参照)

伸び悩む石油需要

石油製品の市況は、原油市況にも影響を及ぼす。原油市況が回復しにくい理由の一つは石油製品の需要が伸び悩み、在庫が世界的に高水準にあることと考えられる。北半球が冬場の需要期に差し掛かるこれから年明けにかけての時期は、石油製品、原油ともに天候の影響を受けやすくなると考えられる。

(グラフ1)Cracking spread (average from CY2001 to 2015)
NYCracking spread (average from CY2001 to 2015)

(グラフ2)Cracking spread of Gasoline
Cracking spread of Gasoline

(グラフ3)Cracking spread of Heating oil
Cracking spread of Heating oil

《執筆者紹介》

伊藤敏憲(いとうとしのり)
伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー代表取締役。1984年東京理科大学卒。同年大和証券入社。同年に配属された大和証券経済研究所(現:大和総研)で、エネルギー産業等の調査担当、素材・エネルギー産業調査の統括、上場企業調査の統括を歴任し、1999年退社。HSBC証券、UBS証券のシニアアナリストを経て、2012年伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー設立。現在、経済産業省「総合資源エネルギー調査会総合部会電力システム改革専門委員会」、「原油価格研究会」、日本証券アナリスト協会「運営委員会」などの委員に就任中。<主な著書>「石油・新時代へ提言」(燃料油脂新聞社)、「伊藤敏憲の提言」(月刊ガソリンスタンド)、「Expert Power」(石油ネット)。

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