日産証券CXレポート

原油、OPECはスウィングプロデューサー

 

 2016年10月17日(月)
㈱伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー
伊藤 敏憲

OPECは、9月28日にアルジェリアのアルジェで開かれた非公式協議で、9月現在の日量3,364万バレルから3,250万~3,300万バレルに減産することで合意した。

11月30日にウィーンで開催されるOPEC総会で国別の生産量等の詳細が決定される見通しである。OPECが協調減産に合意したのは2008年以来のことである。

ロシアも減産に参加

さらに、ロシアのプーチン大統領が、10月10日にOPECによる減産合意にロシアも参加する用意があると述べた。プーチン大統領は、トルコのイスタンブールで開かれていたエネルギー関連会議で、原油安によってエネルギー部門への投資が世界的に減少しており、こうした投資不足は将来的に原油価格の予見不可能な急上昇につながる恐れがあると指摘し、世界的なエネルギー部門の安定を維持するためには、増産凍結、もしくは減産が唯一の選択肢となる公算が大きいとして、ロシアが生産量を制限する共同措置に参加する用意があると述べた。

これらの動きを受けて原油市況は反発、NY原油の先物期近価格は6月23日以来約3か月半ぶりに1バレル50ドルを超えた。

協調減産時には下落が多い

ところで、過去にOPECが協調減産を実施した局面では、その理由に依らず、原油価格は下落したケースが多かった。OPECが減産すれば需給が引き締まると考えられるので、意外と思われるかもしれないが、OPECが原油の需給を調整するスウィングプロデューサーの役割を担っていると考えると、この動きは納得できる。

非OPECの原油生産国は、原油価格が採算を割り込むような水準まで低下しない限り、能力いっぱい生産するケースが多い。すなわちOPECが協調減産を議論しなくてはならない局面は「OPECが減産しなければならないほど需給が緩んでいる」からである。このため、過去に緩んでいた需給を引き締める目的でOPEC加盟国が協調減産した局面では、減産合意を発表した直後に油価が上昇したケースが何例かみられたが、その後に反落するケースが多かったのである。

今回は需給が引き締まろう

ただし、今回は事情が異なる可能性がある。ロシアが主張するように開発投資が抑制されているため、非OPEC産油国において供給量の伸びが見込めないからである。

世界の原油需要は2016年から2017年にかけて日量100万バレル余り増加するとの見方が多い。IEAは120万バレル増加すると予想しているが、この通りに需要が増加し、OPEC、ロシアなど主要産油国が生産を抑制すると需給は引き締まることになる。(表参照)。

IEA世界石油需給表
IEA世界石油需給表

《執筆者紹介》

伊藤敏憲(いとうとしのり)
伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー代表取締役。1984年東京理科大学卒。同年大和証券入社。同年に配属された大和証券経済研究所(現:大和総研)で、エネルギー産業等の調査担当、素材・エネルギー産業調査の統括、上場企業調査の統括を歴任し、1999年退社。HSBC証券、UBS証券のシニアアナリストを経て、2012年伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー設立。現在、経済産業省「総合資源エネルギー調査会総合部会電力システム改革専門委員会」、「原油価格研究会」、日本証券アナリスト協会「運営委員会」などの委員に就任中。<主な著書>「石油・新時代へ提言」(燃料油脂新聞社)、「伊藤敏憲の提言」(月刊ガソリンスタンド)、「Expert Power」(石油ネット)。

【免責事項】

「週刊日産証券C X レポート」( 以下、本情報と略記) は、株式会社市場経済研究所が提供する一定の条件の下で執筆者が作成したレポートです。

利用者は、本情報を利用者ご自身でのみご覧いただくものとし、ご自身の判断と責任においてご利用ください。本情報は一定の情報を提供するものに過ぎず、特定の銘柄、金融商品、商品価格などについての投資・購買に関する助言や勧誘を目的としたものではありません。また、市場経済研究所は、投資助言・代理業を一切行っておりません。

利用者は、本情報に関して、第三者への提供や再配信、再配布、独自に加工すること、複写もしくは加工・印刷したものを第三者に譲渡または使用させることはできません。また、本情報のウェブページへのリンクは禁止します。その他、市場経済研究所が適当でないと判断する行為をした場合には、利用を停止させて頂くことがあります。

本情報の利用にあたり、利用者が故意または過失により、市場経済研究所および当該執筆者に対して、何らかの損害を与えた場合には、市場経済研究所等は損害賠償請求をすることがあります。

レポート
TOPへ