日産証券CXレポート

石油製品、JXTGグループ誕生の影響

 

 2016年9月20日(火)
㈱伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー
伊藤 敏憲

JXホールディングス(以下JXHD)と東燃ゼネラル石油(以下TG)が、16年8月31日に経営統合契約等を締結した。今後、今年12月開催予定の両社の臨時株主総会による承認、経営統合に必要な当局による許認可を取得したのち、17年4月に、統合持株会社「JXTGホールディングス」、両社のエネルギー関連事業が全面的に統合されて設立される「JXTGエネルギー株式会社」、石油・天然ガス開発事業会社の「JX石油開発株式会社」、金属事業会社「JX金属株式会社」によって構成される「JXTGグループ」が誕生する。

業界構造に大きな変化

先行する形で進められていた出光興産と昭和シェル石油の経営統合計画は、出光創業家が反対を表明したことで、現時点(9月20日時点)では暗礁に乗り上げた形になっている。だが、石油製品の国内出荷量の約半分を占めるJXTGグループが誕生すれば、石油業界の再編・集約が進展し、業務提携関係の見直し等が行われ、業界構造が大きく変わることになると考えられる。

崩れにくくなる需給と価格

石油製品の国内需要は減少し続けよう。石油業界は、需要の減少に合わせて、精製設備の集約を進めて供給能力の削減、製品輸出の拡大、石化製品などへの生産シフトで、需給が緩みにくい事業環境をつくっていくとともに、常に需給バランスの適正化を図っていくことが必要になる。

これができれば、安値の業者間転売品(業転品)が大量に市中に流通しにくくなるが、市場シェアの過半を占めるリーディングカンパニーが率先して取り組めば、需給並びに価格は崩れにくくなると考えられる。

また、JXHDとTGの経営統合契約等における販売基本方針の中には「すべての販売施策は『公平公正』および『ブランド価値の向上』の価値に基づき行う」、「特約店、代理店、販売店その他ビジネスパートナーとの信頼関係が重要であるとの認識のもと、両社グループのいずれかに属していたか、また、出資の有無にかかわらず公平に対応する」と示されている。

卸売価格、小売価格とも上昇へ

これらの方針が徹底されると、選択的な事後調整や経営支援は行われなくなり、特約店、代理店、販売店の仕切価格差は縮小すると考えられる。市況を左右しているのは、価格競争力が最も強い販売業者だが、市況を崩していた理由の一つが是正されることになるからだ。JXTGが経営統合契約等に示されている通りに取り組めば、卸売価格、小売価格がいずれも底上げ的に上昇(原油との値さ=クラッキングスプレッドが拡大)すると見込まれる。(各種グラフ参照)。

石油製品の卸売マージンの変化(基準月08年9月)
石油製品の卸売マージンの変化(基準月08年9月)

石油製品の卸売マージンの変化(基準月08年9月)
石油製品の卸売マージンの変化(基準月08年9月)

ガソリンの卸売マージンの変化(基準月08年9月)
ガソリンの卸売マージンの変化(基準月08年9月)

灯油の卸売マージンの変化(基準月08年9月)
灯油の卸売マージンの変化(基準月08年9月)

軽油の卸売マージンの変化(基準月08年9月)
軽油の卸売マージンの変化(基準月08年9月)

A重油の卸売マージンの変化(基準月08年9月)
石油製品の卸売マージンの変化(基準月08年9月)

《執筆者紹介》

伊藤敏憲(いとうとしのり)
伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー代表取締役。1984年東京理科大学卒。同年大和証券入社。同年に配属された大和証券経済研究所(現:大和総研)で、エネルギー産業等の調査担当、素材・エネルギー産業調査の統括、上場企業調査の統括を歴任し、1999年退社。HSBC証券、UBS証券のシニアアナリストを経て、2012年伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー設立。現在、経済産業省「総合資源エネルギー調査会総合部会電力システム改革専門委員会」、「原油価格研究会」、日本証券アナリスト協会「運営委員会」などの委員に就任中。<主な著書>「石油・新時代へ提言」(燃料油脂新聞社)、「伊藤敏憲の提言」(月刊ガソリンスタンド)、「Expert Power」(石油ネット)

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