日産証券CXレポート

金、リスクオン・オフが交互に出現 2016年4月25日(月)

(株)資源・食糧問題研究所
代表 柴田明夫

金、リスクオン・オフが交互に出現

1200ドル台前半でのもみあい続く

金は4月に入って1オンス=1,210~1,270ドルの範囲内での値動きに終始している(図参照)。1,200ドル近辺では値ごろ感からの買い戻しが入り、1,250ドルを超えてくると利食い売りのタイミングが計られている。市場のリスクオン、リスクオフを映したものだ。

リスクオンとは、①米国の経済指標が不調で米連邦準備銀行(FRB)の利上げ観測が後退する、②為替市場でユーロや円が買われドルが売られる、③欧米の株式市場で株価が下落する、④原油価格が急落あるいは米原油在庫の減少―などの状況である。

こうしたケースでは、投資家のリスク回避姿勢が強まり、安全資産である金に魅力が生じ、相場が上昇することが多い。リスクオフはこの逆で、投資家のリスク回避姿勢が後退し、株や債券が買われる一方、金は売られることが多い。

そこで改めて、4月1日以降22日までの金相場の主な動きを、リスクオン(以下ON)、リスクオフ(OFF)の視点から振り返ってみる。市場では交互にONとOFFが現れ、金相場が上下にもみあっている状況が見えてくる。

主な動きは上昇6日、下落5日

[1日OFF] 3月の米雇用統計で非農業部門就業者数が前月比21.5万人増となり、事前予想(20.5万人増)を上回ったことで早期利上げ観測が再燃し、金が売られた(終値1,222ドル、前日比▲12ドル)。

[5日ON] 欧米の株式市場で株価が下落したことからリスク回避ムードが強まり、金が買われた(1,229ドル、+10ドル)。

[6日ON] 米原油在庫の減少を受け原油相場が上昇した(1,223ドル、▲5ドル)。

[7日ON] 6日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録で、追加利上げについて慎重な姿勢が示された(1,237ドル、+13ドル)

[8日OFF] 欧州市場で株価が上昇し、原油価格も大幅高となり、金が売られる場面もあったが、その後は値ごろ感から金は買い戻された(1,243ドル、+6ドル)。

[12日ON] 国際通貨基金(IMF)が2016年の世界経済成長率を3.2%に下方修正したことで、先行き不透明感が根強く、FRBの利上げペースも緩やかになるとの見方から金が買われた(1,260ドル、+2ドル)。

[14日OFF] 世界の核中央銀行が減速する景気を支援するため、金融政策を緩和するとの期待感から、世界的に株価が堅調となり、投資家のリスク回避姿勢が後退し、金が売られた(1,226ドル、▲21ドル)。

[15日ON] 米鉱工業生産指数が市場予想を下回り、米国の早期利上げ観測が後退した(1,234ドル、+8ドル)。

[19日ON] コモディティ市場全般への投機マネーの流入がみられるようになった(1,254ドル、+19ドル)。

[21日OFF] 欧州中央銀行(ECB)が金融政策の維持を決めたことで、対ユーロでドル安が進行したものの、ドラギECB総裁が必要に応じて追加金融緩和を実施する可能性を示唆したことで金が売られた(1,250ドル、▲4ドル)。

[22日OFF] 日銀が追加緩和に踏み切るとの観測から円安・ドル高が進んだ(1,230ドル、▲20ドル)。

勢いは上昇基調

以上みたように、金相場は、4月に入って1,200ドル台前半でのレンジ相場となっている。しかし、イエレンFRB議長はすでに追加利上げに対しては慎重な姿勢を示していることに変わりはない。このため、金相場のモメンタム(勢い)としては2月以降の上昇基調を維持していると言えよう。

チャート

《執筆者紹介》

柴田明夫(しばたあきお)
資源・食糧問題研究所代表 1976年東京大学農学部卒。同年丸紅入社。鉄鋼第一本部、調査部等を経て、2002年に丸紅経済研究所主席研究員。同副所長を経て、2006年同所長。2010年同代表。2011年に資源・食糧問題研究所を設立、代表に就任。<主な著書>『食料争奪』(日本経済新聞出版社)、『水戦争』(角川SSC新書)。

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