日産証券CXレポート

需給の変化を反映しやすい米国石油先物相場 2016年4月4日(月)

㈱伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー
伊藤 敏憲

需給の変化を反映しやすい米国石油先物相場

原油相場は需要・供給・在庫の水準や増減、これらに影響を及ぼす経済情勢、天候、地政学リスクなど様々な理由によって左右される。そして、近年は、需給とは直接関係のない為替相場や金融情勢などによっても相場が大きく左右されている。

クラッキングスプレッド、季節、天候をストレートに反映

石油製品の相場も様々な理由で左右されるが、米国では、原油との値差=クラッキングスプレッドは、それぞれの製品の需給に影響を及ぼす季節性や天候などをよりストレートに反映する傾向が見られる。
NYMEXの先物市場におけるガソリンとヒーティングオイルのクラッキングスプレッドの過去の変化をみると、ヒーティングオイルは需要期を控えて在庫を積み増す夏から初冬にかけての時期、ガソリンは需要が増加する春から初夏にかけての時期にそれぞれ拡大する傾向が見られる。(グラフ1参照)

昨年は暖冬が影響

米国では、ヒーティングオイルの在庫は、例年7月から9月にかけて積み増され、出荷量が増加する9月半ばごろから取り崩される。昨年も9月半ばから在庫は減少に転じたが、異常暖冬の影響で需要が伸び悩んだことから、11月下旬から年明けにかけて在庫は増加した。これを反映するようにNYMEXのヒーティングオイルのクラッキングスプレッドは、例年拡大傾向で推移する11月から12月にかけての時期に昨年は縮小した。(グラフ2参照)

ガソリンの需要も、暖冬の影響を受けて伸び悩み、11月から2月にかけて在庫が積みあがったが、2月下旬から需要が回復し、在庫も急減した。この動きを映すように、ガソリンのクラッキングは2月下旬から急拡大している。このように、米国の石油製品相場は、需給の変化をストレートに反映することが多い。(グラフ3参照)

小さい日本のクラッキングスプレッドの変化

ところが、日本では、東京商品取引所の石油製品のクラッキングスプレッドの変化はNEMEXに比べると小さく、日本国内の各石油製品の需給や在庫の増減を必ずしも反映しないことがある、また、ガソリンと灯油の先物相場には季節性がほとんど見られず、両製品の相場はほぼ同じように動くことが多い。石油先物への投資を行う際には、日米のこのような違いを考慮する必要がある。

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《執筆者紹介》

伊藤敏憲(いとうとしのり)
伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー代表取締役。1984年東京理科大学卒。同年大和証券入社。同年に配属された大和証券経済研究所(現:大和総研)で、エネルギー産業等の調査担当、素材・エネルギー産業調査の統括、上場企業調査の統括を歴任し、1999年退社。HSBC証券、UBS証券のシニアアナリストを経て、2012年伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー設立。現在、経済産業省「総合資源エネルギー調査会総合部会電力システム改革専門委員会」、「原油価格研究会」、日本証券アナリスト協会「運営委員会」などの委員に就任中。<主な著書>「石油・新時代へ提言」(燃料油脂新聞社)、「伊藤敏憲の提言」(月刊ガソリンスタンド)、「Expert Power」(石油ネット)。

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